【身体オタク|階段をあがる】
2026/10/21
【身体オタク|階段をあがる】
上げる脚より、支持する脚
階段をあがるとき、私たちは次の段へ「脚を上げること」に意識が向きがちです。
しかし、私がまず注目するのは、身体を支える脚がどう働いているか。
一段あがる動作にも、足部・股関節・骨盤・体幹、反対側の脚まで、多くの筋肉や関節の協調が必要です。
■ ① 動きの始まりは、支持脚から
まず見るのは、足裏の接地状態です。
踵で床を押せているか。
そもそも押しづらくなっていないか。
私は「踵で床を鉛直方向に押す感覚」を、支持脚の働きを確認する手がかりにしています。
これは踵だけに体重をかけるという意味ではありません。足部全体で荷重を受け、足関節の動きや床反力を身体の支持・重心移動につなげられるか、という視点です。
■ ② 殿筋群の働きと骨盤の安定
中殿筋は、片脚で支える際の骨盤や股関節の安定に関わります。
大殿筋は股関節伸展に関わり、身体を持ち上げる働きにも寄与します。
もちろん、大腿四頭筋による膝の伸展や足関節周囲の筋群との協調も欠かせません。
大切なのは、筋力が強いか弱いかだけでなく、
「必要な場面で、必要な筋肉が働いているか」。
支持側が安定することで、反対側の脚も動かしやすくなります。
■ ③ 反対脚を上げる腸腰筋
反対側の脚を振り出すとき、股関節屈曲に関わる腸腰筋が働きます。
腸腰筋は大腰筋と腸骨筋から構成され、大腰筋は腰椎から骨盤内を通り、大腿骨の小転子へ向かいます。
だからこそ、脚の振り出しを考えるときも、股関節だけでなく腰椎・骨盤の状態に目を向けています。
■ ④ 腹腔内圧と大腰筋の関係
ここからは、私自身の臨床的な仮説です。
腹筋群・横隔膜・骨盤底筋群などが協調して腹腔内圧を調節することは、腰椎や骨盤の安定に関わります。
私はさらに、腹腔内容物の支持を含む腹部内部の力学的な環境が、大腰筋の働きや脚の振り出しやすさに影響する可能性にも注目しています。
ただし、腹腔内圧が大腰筋の筋出力を直接高めるという機序は、現時点で確立されたものではありません。解剖学的な位置関係と臨床経験から考えている仮説です。
腹筋は、ただ身体を固めるためだけに働くのではない。
身体の内側の支え方も、動作を考える大切な視点だと感じています。
■ ⑤ なぜ、階段があがりづらいのか?
踵で押そうとしても、うまく押せない人がいます。
一方、押せていても、階段があがりづらい人もいます。
足関節の可動性か。
足部の支持や荷重の仕方か。
殿筋の働き、骨盤や体幹の安定性か。
理由は人によって異なるため、最初から特定の筋肉や関節だけを原因と決めつけません。
■ ⑥ 同じ一段でも、身体の使い方は違う
身体の使い方が変わることで、
「階段が軽く感じる」
「太ももばかり頑張らなくなった」
「以前より楽にあがれる」
そんな変化が生まれることがあります。
それは筋力が増えたからだけではなく、身体の支え方や筋肉の働くタイミング、関節の協調が変化した結果かもしれません。
「階段をあがれるか」だけではなく、
「どうやってあがっているのか」。
そして「なぜ、その動きになっているのか」。
私は、そこを大切にしています。
あなたは、階段をあがるとき、どこを使っていると感じますか?
📍神奈川県伊勢原市
整体&コンディショニング Pre-Body谷口
理学療法士・谷口剛俊(臨床経験25年)
姿勢・歩行・階段動作を全身から評価し、一人ひとりに合った身体の使い方を考えます。詳しくはプロフィールの公式HPへ。
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